カルト集団の信者の心理と特徴を解説!なぜ彼らは信仰をやめないのか?

マインドコントロールされやすい人の特徴

 

Mr.ウィリアム

どんな時代にも世界には恐ろしい犯罪カルト集団が多く存在しています
でもリーダーや教祖が逮捕されて有罪となったり、予言を外してもまだ信仰をやめない人がいるのはなぜなんでしょう?

ジョナサン

 

今回はオウム真理教やマンソンファミリーを例に、少し変わった角度で今まであまり知られていなかった信者たちの心理状態を解説していきます。まずはカルトとは無縁だと思っていた人々が「マインドコントロール」され犯罪者へと陥るまでの段階について解説します。実は洗脳されやすい人には以下のようないくつかの特徴があります。

 

 自信がない

自身の容姿を過剰に気にしたり、自身の行動や言動に常に自信がなく不安を感じている人。外見や行動を異常に気にするのは、他人の目線を気にする主体性がないタイプであり、人の意見や世の中の流行に流されやすく簡単に洗脳にかかりやすいと言われます。

 

 孤独を感じている

孤独にも関わらず強がっている人は特に危険です。心のどこかで常に「誰かの助け」を求めているけれど、口に出して感情を他人に上手く伝えられない。そのような人は自分をわかってくれる「理解者」が現れた時には言葉巧みに操られ、一気に依存してしまう傾向があります。

 

 柔軟性がない

物事を様々な視点から考えられず、一度こうだと思い込むと考えを曲げない人も危険です。このようなタイプはカルト集団に入った時に、自分が犯罪をしていても「教祖や集団が言うことに間違いはない」と罪の意識なく犯罪に手を染めてしまいます。

 

Mr.ウィリアム

マインドコントロール下では「行動・思想・感情・情報」を操り、信者のアイデンティティを崩壊させます

 

元FBI捜査官のロバート・K・レスラー氏の著書の中では、マンソンファミリーのリーダー、チャールズマンソンは言葉で人を操ることに関しては天才だったと記されています。(下記の記事でレスラー氏の著書を紹介しています)彼自身もそのことをよく理解しており、最初は当時流行っていたヒッピーのファッションをし、難解な言葉を口走り、ギターを弾きながら音楽を作る事で若者たちの心を掴んだそうです。そして幻覚剤なども使い、しだいにささいな違法行為から重大な犯罪を起こすよう信者たちをコントロールしました。

 

有名シリアルキラー達の性格や生い立ちは?彼らの心理と共通点を分析

 

同様にオウムも信者に不思議なヘッドギアを装着させたり、長時間に渡る瞑想などで彼らの精神を完全に崩壊させ、独自の世界を創り上げていました。

 

 

それでもなぜ信仰をやめない?

 

オウムでいうと麻原彰晃、マンソンファミリーでいうとチャールズマンソンというリーダーが存在しますが彼らが逮捕され有罪となった後でも、まだ信仰をやめずに彼らを神格化する人がいるのはなぜなのか?

麻原は大地震やハルマゲドンなどの数々の予言をしては大きく外し、空中浮遊のやらせも元幹部に暴露されています。マンソンも終末が近づいていると信者達に伝え、新世界を自分達で作ろうと唱えていました。

 

普通に考えると、「嘘つきやがって!あんな奴信用できない!」・・と信者が逆上しそうな気がするんですが、逆にいまだに信者がいる状態です。とても不思議ですね

ジョナサン

 

 

「彼らはもうマインドコントロールされてしまっているから、頭がおかしくなってしまっているんだよ!」

 

 

 

というのが世間の多くの見解かと思いますが、果たしてそれだけが原因でしょうか?例えばオウムの場合、信者は最も多い時で日本で15,000人、ロシアには35,000人もいました。いくらマインドコントロール下にあっても、本当に誰も一切疑うことなく麻原の発言全てを全員が信じ切っていたのでしょうか?当時誰も「空中浮遊」に疑いを持たなかったとは考えにくいです。

 

Mr.ウィリアム

実はこの心理を紐解くキーワードは、彼らの事件が起こるずっと前の1950年代の研究にてすでに発覚していました

 

 

認知的不協和」が関係していた

 

1954年マリアンキーチという50代のアメリカ人女性が全米を騒がせました。簡単に説明すると、彼女はカルト集団のリーダーで、「自動手記」によって地球外からのメッセージを受け取ることができると主張していました。それは彼女がペンを持つと勝手に手が動くという胡散臭いものでしたが、筆跡が彼女のものとは異なると主張し、信者達は彼女を信じきっていました。そしてとある日彼女は地球外生命体が地球を襲い、戦争が繰り広げれるなど数々の予言のメッセージを記します。

 

昔の人々は 現代の人々に比べて非科学的な物をすぐに信じてしまう傾向があったのでしょうか?

ジョナサン

Mr.ウィリアム

インターネットの普及もあって現代人は昔よりも注意深く、知識も豊富になりましたね

 

さらに後日、近いうちに大洪水が起きること、彼女の教えに従い「選ばれたものたち」はUFOによって救われるというメッセージを記します。信じがたい話ですが、そのメッセージを期に信者たちは「選ばれたもの」になるため仕事をやめたり、財産を捨てたりと破滅的な方向へ向かいます。そして最終的には、同年12月21日に宇宙からUFOが来て選ばれたものたちをピックアップすることが明言されます。

 

そして来るべく12月21日の午前0時が訪れます・・

 

時刻は午前0時になりましたが訪問者は1人もおらず、集団は残酷なまでの沈黙に包まれました。午前4時にはキーチ夫人が泣き始めます。

ところが午前4時45分、新たなメッセージが自動手記によってキーチ夫人に届くのです。メッセージでは、夜通し待機していたキーチ夫人の小さな集団が光を放ち、その光は地上の神に届くほど明るかったことを指摘し、その明るさを見た神は、世界を破滅から救うことにしたのだと述べていました。

 

出典元:創元社 アダム・ハート=デイヴィス(著)「パブロフの犬:実験でたどる心理学の歴史 (創元ビジュアル科学シリーズ1) 」より

 

・・・なんて苦しい言い訳なんでしょうか。恐らくこの4時間45分の間キーチ夫人は、「どうしよう・・この状況どうしたらいいの?!」と考え抜いた挙句に思いついた神からのメッセージが「君達のパワーがすごすぎて気が変わった。世界を破滅から救ってあげたよ」ということですよね?

ジョナサン

 

Mr.ウィリアム

苦し紛れの理解不能な理屈のメッセージですね

 

 

しかし信者たちはこの結果に救われ、「大喜び」しました。予言が外れたにも関わらず、かえって活動を活性化させたのです。このメッセージはキーチ夫人の教えが間違っていなかったと証明できると考えたようで、世間に理解してもらうため熱心に広報活動に励んだのです。キーチ夫人は92年に亡くなっておりますが、最後までその集団の活動をしていたようです。

 

えーなぜですか?!子どもの僕でさえキーチ夫人は嘘をついていたとわかりますよ!普通なら飽きれて集団から抜け出すのでは・・?

ジョナサン

 

Mr.ウィリアム

こうした信者たちの行動は「認知的不協和」の心理が関係しています。認知的不協和とは、矛盾する認知を同時に抱えた時のストレスを指します。人はこれを解消するために正当化する新たな行動を取ったり言い訳をするのです

 

 

友人のボブが新車を買ったと思ってください。ボブはこの車は最高だよ、速いし、性能は一番いいし、燃費も抜群なんだと言うかもしれません。たとえボブの言う通りだとしても、より重要なのは、ボブはこの買い物のために時間とお金をつぎ込んでいる点です。そのため、誰かに自分の選択はベストではないなどと言われたくないのです。

 

出典元:創元社 アダム・ハート=デイヴィス(著)「パブロフの犬:実験でたどる心理学の歴史 (創元ビジュアル科学シリーズ1) 」より

 

キーチ夫人の信者達も教えに従い、仕事をやめたり財産を手放したりしていた為、今更自分の行いが間違っていたことを認めたくなかったのです。

 

Mr.ウィリアム

カルト集団の信者は、完全なマインドコントロール下にある者よりも自分たちが今まで行ってきた活動を否定されたくないというこの認知的不協和からの正当化のために信仰を続けている者の方が多いのかもしれません

 

 

オウムの幹部 中川智正

 

麻原の主治医として活動していたオウム幹部の医師、中川智正は2018年に麻原や他の幹部と共に刑が執行されました。そんな彼と6年に渡って15回面会してきたコロラド州立大学の名誉教授のアンソニー・トゥー教授という方がいます。彼が面会しに時々来日していることは中川の生前にも度々ニュースになっていましたが、それ以上の詳細は報道されていませんでした。

 

そして昨年刑が執行された直後に、教授の書籍が発売されました。私もこの本を即日購入し一日で読み終えました。どのように表現したら良いのか難しいところですが、一言で簡潔に言うと、個人的にはかなり”衝撃を受けた一冊” でした。

 

面会での会話から今まで知ることのなかった中川の人柄、オウム幹部の関係性、化学研究の詳細や当時の教団の状況が、具体的でリアルな部分まで知る事ができます。他にここまでオウムの内部事情が知れる書籍はないのではないかと思います。彼らの面会に行ける人数は限られており、トゥー教授ほどに親密に幹部と交流できた人はいないのです。中川の発言から教団の各個人に対する感情も読み取ることができ、教団内の派閥も垣間見えます。

 

幹部の洗脳は晩年解けていたのか?麻原に対しどういう感情を持っていたのか?というのは皆さんが気になる部分の一つかもしれません。

 

裁判の記録では中川氏は当初は麻原を尊敬して尊師と呼んでいたが、そのうちに麻原は「狂っている人」と批判したこともあった。中川氏の心の中で麻原に対する「畏敬」の念と「憎悪」の念という相反する気持ちが共存しているのだろうと思う。時間の経過とともに「憎悪」が強くなるが、時々「畏敬」の念が突然出てくるのではないかと思う。

(中略)時々相反した考えが口に出る。彼は麻原やオウム教団に対して二つの矛盾した気持ちを同時に抱えているように思う。

 

出典元:KADOKAWA アンソニー・トゥー(著)「サリン事件死刑囚 中川智正との対話」より 

 

そして中川の人柄についてはこう説明されています。

 

中川氏と接触した人は皆「いい人」だと言う。私も同感で、運の尽きは麻原に会ったことである。もし彼が麻原に会っていなかったら、良いお医者さんになっていただろう。そう思うと残念である。

 

出典元:KADOKAWA アンソニー・トゥー(著)「サリン事件死刑囚 中川智正との対話」より 

 

彼は頭脳明晰で、いつも笑顔で愛想が良く、感じのいい人であったと書かれています。社会的凶悪事件を起こした者に対しおかしな表現ですが、実際こう感じている人は日本に多くいると思われます。なぜ非常に賢く評判も良かった彼がそんな事件を起こしてしまったのか・・有能な若者がもったいない・・というように。

事実私もそのような印象を少なからず感じます。晩年彼は罪の重さを自覚し、二度と同じようなことが起こらないようにと様々な研究者に協力して自身の化学知識を提供し、論文を書き上げたりもしていました。

 

しかし、罪を犯したからこそ晩年「いい人」になれたのかも知れないという気もします。性格に危険で凶暴な部分があったのは事実で、仮に麻原に会わなかったからといってその闇をコントロールできたのかは疑問です。彼の入団当時のフラストレーションを解消したのが教団だったという訳で、出会わなくても別の方法で危険性を発揮していたのではないかとも思います。

 

Mr.ウィリアム

もしタイムマシンが過去に行けるようになるならオウムの幹部達が麻原に出会わない人生を導き出して、どうなるのか見てみたいですね

 

将来タイムマシンは実現する?思考実験や科学的根拠から可能性を考える

 

本日の二冊 — TODAY’S BOOKS —

 

 

パブロフの犬は以前の依存症に関する記事でもご紹介しました。多くの心理学実験とその結果が解説されているのでなかなか楽しめる一冊です。アンソニー・トゥー教授の本は、非常におすすめです。2018年に読んだ本の中でもトップレベルの一冊でした。

 

依存症の原因を心理学実験から解説!女性達が危ない?SNSに潜む危険性とは

 

最後に:今回取り上げたテーマについて

 

今回のテーマは執筆が若干難しいものでした。当WEBサイトの開設当初、私は犯罪心理学や戦争などもカテゴリに含めており、もう少し過激な内容の記事もストレートな表現で掘り下げて解説していくつもりでした。しかしGoogleアドセンスや提携会社の規約などの関係で諦める形となりました。

 

心理学の研究から派生し、犯罪心理学は私が特に興味を持っているジャンルの一つで、紹介したい書籍も多くあります。今後それらを上手い形で紹介するかどうか・・現在検討中です。今回はまずウォーミングアップとしてカルト犯罪集団をピックアップし、信者の心理について解説しました。

 

オウム真理教は特に日本とロシアで活動していたという事もあり、個人的にも注目している事件でした。地下鉄サリンが起こった当時の事は何も覚えていませんが、大人になりこの団体の起こした事件や活動について調べていくうちに次から次へと多くの疑問が沸き、彼らについて多くの書物を読むまでに至りました。

 

 

基本的に麻原彰晃、チャールズマンソンとマリアンキーチに共通しているのは承認欲求の強さ」です。通常の人々に比べ、非常に自己顕示欲が強い事が様々な記録や言動からわかります。個人的には彼らがなぜ神扱いされ、一定の人々にそこまで慕われるのか理解できません。理解できないからこそ、より信者の心理に興味があるのだと思います。しかし何年研究しても、やはりわからないのです。信者はこれらのリーダーよりも賢く、社会的地位が高い者も少なくありません。なぜそのような賢い人々が神として選んだのが麻原なのか?マンソンなのか?・・どれほど考えてもやはり理解できない点です。

 

これらリーダーは他人の気持ちを考える事は一切できない人間であり、彼らの言動も、主に自己防衛もしくは周囲から賞賛を得るためにそれなりのことを適当に発言しているだけです。彼らの取り巻きが彼らの発言を大きく解釈しすぎたせいで、どんどん神格化されてしまったようです。

 

世界の犯罪史や犯罪心理について学ぶ事は、一般の心理学やビジネスの情報とは違い日常ですぐに取り入れたり、目に見えて役に立つ情報ではありません。しかし、彼らがどういう環境または心理で「犯罪者」になってしまったのか?経緯や事件を知識として押さえておく事は、自分自身がそうならない為にも、家族や友人をそうならないようにする為にも、知っておく必要があるのではないでしょうか。

 

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