本当に人工知能の進化により人間の仕事はなくなるのか?

AI楽観主義者の考え方には盲点があった

 

先日の人工知能の記事では、現在研究者達の中で懸念されている人工知能の問題について簡単に紹介しました。人工知能は人間の脅威にはならないという事をご説明し、「人間の職業が人工知能に奪われる」という点に関しては「新しい職業が誕生するだろう」という楽観的な見解でまとめましたが、この点はあまり侮りすぎてはいけない問題だという事を認識した為、改めて今回はここのポイントを掘り下げてご説明していきます。

 

未来の人工知能は人類にとって危険な存在になるのか?

 

Mr.ウィリアム

もちろん人工知能の発達に対する肯定的な意見は変わりません。しかし人間の職業が奪われるというポイントはそう簡単な問題ではないようです
人間の新しい職業が誕生し、コンピューターと上手く共存するという事はできないのでしょうか?

ジョナサン

 

AIが人間の仕事をすべて奪ってしまうような未来は来ませんが、人間の仕事の多くがAIに代替される社会はすぐそこに迫っています。つまり、AIは神や征服者にはならないけれど、人間の強力なライバルになる実力は、充分に培ってきているのです。「東ロボくん」は、東大には合格できませんが、MARCHレベルの有名私大には合格できる偏差値に達しています。

AI楽観主義者の人たちは、AIに多くの仕事が代替されても、AIには代替できない新たな労働需要が生まれるはずだから、余剰労働力はそちらに吸収され、生産性が向上し経済は成長すると主張しているようです。チャップリンの「モダン・タイムス」の時代にホワイトカラーが誕生したように、これまでになかった仕事が生まれるのだと言うのです。

 

出典元:東洋経済新報社 新井 紀子(著)「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」より

 

AI楽観主義者の私はまさにこのような考えを持っていた訳ですが、そう単純な問題ではなかったのです。東ロボくんというのはこちらの本の筆者が「ロボットは東大に入れるか」と名付けた2011年から始めたプロジェクトの事です。徐々に偏差値を上げ、現在はMARCHレベルまで達しているようです。

 

ちなみにチャップリンのモダン・タイムスとはこちらの動画です。機械化に取りつかれた人々を皮肉にしたコメディですが、この時代にホワイトカラーと呼ばれるオフィスの仕事が誕生しました。

 

 

チャップリンは僕達の国イギリスを代表する有名なコメディアンです!

ジョナサン

 

新しい職に代替すれば良いのでは?

 

では改めて英オックスフォード大学の准教授オズボーン氏の研究チームが数年前に発表した論文についてみてみましょう。そこでは10~20年のうちに702の職種、米国の総雇用者のおよそ47%の仕事がコンピュータ化によって自動化されると述べられています。下記リンクをご覧ください。この数値は実際とんでもない数の人々が近い未来に職を失う事を示しています。

 

参考 今後10~20年の間に消える仕事・残る仕事エコノーツ

 

Mr.ウィリアム

もちろんこの数に代替するほどの職業が誕生すれば良いのですが、その新しく誕生した職業が、職を失った人々の新たな職業になる訳ではない、という点が盲点だったのです

 

 

実は、同じようなことはチャップリンの時代にも起こっています。ベルトコンベアの導入で工場がオートメーション化される一方、事務作業が増えホワイトカラーと呼ばれる新しい労働階級が生まれました。でもそれは、一度に起こったことではありません。タイムラグがありました。

大学が大衆化し、ホワイトカラーが大量に生まれる前に、多くの工場労働者が仕事を失い、社会に失業者が溢れました。それが、20世紀初頭の世界大恐慌の遠因となりました。

その時代、ホワイトカラーいう新しい労働需要があったのに、なぜ失業者が溢れたのか。答えは簡単です。工場労働者はホワイトカラーとして働く教育を受けておらず、新たな労働市場に吸収されなかったからです。

 

出典元:東洋経済新報社 新井 紀子(著)「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」より

 

この危険が現在の総雇用者のおよそ半数に指摘されている訳ですから、大変な事が近い未来に起きようとしているのは明らかです。私がこの記事を執筆した後に知人とAIについて議論をし、さらに私は自身が身落としていた点に気付いたのです。

一般的に人間のIQは100前後が平均ですが、中には160近くの者もいれば、70以下の人々も存在します。彼らが現在行っている箱詰めや仕分けのような単純作業をAIに代替された場合、彼らが新しい仕事を得るのは平均のIQを持つ人々よりも更に困難となるのです。コンピューターによる革命はホワイトカラーが誕生した時よりも深刻で、世界中が職を失った人々で溢れかえる可能性があるのです。

 

 

なくなる職業となくならない職業

 

Mr.ウィリアム

簡潔にいうと、なくなる職業とは人工知能が「得意」な分野、なくならない職業は人工知能が「苦手」な分野です

 

論文内でなくなると指摘されている職業は、テレマーケター、不動産登記の審査・調査、手縫いの仕立て屋、データ収集や加工、保険業者などがあります。人工知能が得意とするものは「計算」です。そしてマニュアル化しやすい単純作業も非常に得意です。その為上記のような職種はコンピュータ化が予想させています。

 

反対になくならないとされている職業とは、レクリエーションセラピスト、整備や修理の監督者や内科医・外科医をはじめとした医療関係など、コミュニケーションや柔軟な思考力が必要とされるものです。人工知能の弱点とされている「フレーム問題」によって、こういった職業は彼らにとって難しいと見なされています。フレーム問題についてはまた後日詳しく説明しますが、簡単に説明すると、人工知能はその場面で考慮すべき問題としなくてよい問題の判断ができないという事です。

 

Mr.ウィリアム

人工知能は人間の曖昧なニュアンスを理解できないので、例えば医者に行って「この辺がむかむかするのです」と言う表現をしても彼らには理解できません
お医者さんと患者さんはコミュニケーションの上で信頼関係が成り立っているのでAIには難しいのですね

ジョナサン

 

 

この本の著者も述べているように、このデータはアメリカの話だからといって安心してはいけません。アメリカで人工知能に代替される仕事はすぐに日本でも導入されるます。個人的には私も失業率の高いイタリアに移住する上で日本人以上の危険性と不安を感じています。将来に備えプログラミングを強化して学んでいこうと考えています。本やブログを執筆するだけで生活していけたら良いのですが現実的ではありませんね。

 

この問題は個人が回避したからといって安心できる問題でもありません。多くの失業者が出るという事は国の経済に影響し、世界恐慌に繋がることを意味するのです。それでもやはり個人としてできる事とは、人工知能が出来ないビジネスを見つけ出し広げていく事、そして人工知能と上手く共存していく方法を見つけ出していく事です。

 

 

本日の一冊  — TODAY’S BOOK—

 

 

東ロボくんの生みの親である数学者の新井紀子氏が現在の世間のAIに対する誤認識や、自身の携わった東ロボくんプロジェクトで挑んだセンター試験の取り組みや結果、全国の学生達の読解力調査レポート、そして今回ご紹介したようなAIの進化による未来の労働市場の変化やそれにおける危険性などを説明されています。現在のAI事情が一通り把握できる一冊です。

 

人工知能については当サイトでも紹介したい部分がまだ多くあります。これからも度々解説していきますので次回更新までお待ちください。

AIは日々進化しているので話題は尽きません!

ジョナサン

AI(人工知能)コース

 

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